この胸いっぱいの愛を。
将兄が、本当に見てる人?
それって、好きな人ってことだよね?
…………知らなかった。
将兄に、好きな人がいたなんて。
「凄いですね、先輩。
私、妹なのに……」
妹なのに、全然気付かなかった。
私が感心して言うと、先輩は一瞬不思議そうな顔をして、自嘲気味に笑った。
そして。
「お前だから、だと思うよ?俺は」
と、意味深な言葉を口にした。
……私だから、って、どーゆーこと?
訳が分からなくて、首を傾げる。
「ま、その内わかるって!」
そう言って笑った先輩の顔には、いつもの笑顔が戻っていた。
その笑顔を見て、私はホッとした。
先輩、ちゃんと笑えてる。
「先輩が復帰するの、待ってますから」
「おぅ、サンキューなっ!」
先輩がいないと、なんか寂しいし。
それはさすがに言えなかったから、心の中に仕舞っておいた。
それから私達は、他愛のない話で笑いあって……
八時を過ぎる頃に、家を出た。
先輩のお母さんは、私に「いつでも来てね」と言ってくれた。
その時の笑顔が、先輩と重なって……
やっぱり親子だなぁ、なんて思った。
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