この胸いっぱいの愛を。



何か、あったのかな……。


一度考え出すと、気になって眠れない。

それに、あまり長い間横になっていると、逆に体力を消耗しそうだ。


そう思い、私は重たい体をゆっくりと起こした。

立ち眩みになった時のような感覚に加えて、後頭部がズキリと痛む。

その痛みは、さっきから感じている胸の痛みと似ていた。




やっぱり、もう少し休んだ方が良いかな。


そんな考えが頭に浮かぶと同時に、また祐兄の笑い声が聞こえてきた。




―――――居間に、行ってみようか。


彼女さんだって優しそうな人だし、話したら仲良くなれるかもしれない。

なにより、あの将兄が好きになった人だ。

良い人に決まってる。


それに、私と彼女さんが仲良くしてる方が、将兄だってきっと喜ぶ。

妹の私が自分の彼女に嫉妬してるような素振りを見せたら、将兄にとっては迷惑――……






―――――――――――嫉妬?


ごく自然に、それこそ湧いて出てきたようなその二文字に、私は首を傾げた。




嫉妬?

誰が?

私が?

誰に?




.
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