この胸いっぱいの愛を。
素直な気持ちを桃香に伝えられたら、どんなに楽だろう。
そしてその気持ちを受け入れてもらえたら、どんなに幸せだろう。
いっそのこと、桃香が誰かのモノになってしまえば、諦めもつくのだろうか。
頭の中で絡み合う複雑な思いを振り切り、俺は自室に戻った。
桃香のために今俺ができることは、傍にいてやること。
あくまでも“兄”として、“妹”の桃香の笑顔を守ること。
それが、俺に与えられた使命なら。
俺はそれを、忠実に実行するだけだ。
いつかその使命が俺以外の誰かのものになる、その時まで─────……。
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