この胸いっぱいの愛を。
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「なんか、すいません……
俺、一人で熱くなっちゃって…」
さんざん語った後、我に返った速見くんは顔を真っ赤にして、何回も謝ってきた。
将兄のことになると、つい我を忘れて語りまくってしまうらしい。
将兄、愛されてるなぁ……(笑)
「新人戦の時、話し掛けてみれば?」
健吾の何気ない提案に、速見くんは顔から火を吹いた。
「そそそそんな………
俺なんかが話し掛けるなんて、恐れ多くてできないよ!」
かと思ったら、自分で言ったことに落ち込んでるのか、今度は泣きそうになってる。
表情がコロコロ変わるから、見てて面白い。
「良いじゃん、お前強いんだし」
健吾が半泣き状態の速見くんの頭を乱暴に撫でた。
栗色のサラサラヘアが、見事に崩される。
「速見くん、テニス強いんだ?」
「こいつ、夕見中のベスト3だから」
自分のことのように得意そうに言う健吾の口を速見くんが慌てて塞いだが、時すでに遅し。
「えーっ、一年でベスト3って相当凄いんじゃない!?」
拍手をするアユに、速見くんはぎこちない笑顔を向ける。
あの学校で三番目に強いって、確かにかなり強いかも。
新人戦、楽しみになってきた……!
私は速見くんがどんなプレーをするのか考えながら、期待に胸を膨らませた。
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