この胸いっぱいの愛を。



「これ、絶対そうだよ!
 将一郎に告白なんて、勇気あるなぁ」




………ラブレター?


………告白?


状況が、全く把握できない。

柊也は何を言ってるんだ?




何だかよくわからないが……




「これは、果たし状じゃないのか?」

「違うよ、ラブレターだって!」

自信満々といった感じで楽しそうに笑っている柊也。

どこからそんな自信が湧き出てくるんだ……

これはどう見ても、俺への挑戦状ではないか。


「将一郎もついにモテ期突入かもね♪」

「……なんだ、それは」

いつもに比べて大分興奮気味の柊也を横目で見て、俺はため息を吐いた。


「とにかく、俺はもう行くからな」

「そっか、待たせちゃ悪いもんね。
 早く行ってあげなよ♪」

これ以上一緒にいても時間の無駄と判断した俺は、楽しそうな柊也を置いて歩きだした。

自分が足止めしていたくせに「早く行ってあげなよ」なんて……

自分勝手にも程があるだろう。




俺は柊也の笑顔を頭から消し去って、体育倉庫へと足を進めた。




.
< 85 / 196 >

この作品をシェア

pagetop