この胸いっぱいの愛を。



「違っ、そんなんじゃ……!」

咄嗟に言い返したが、焦りまでは隠すことができなかった。


と、その時。




「お待たせー♪
 うっわ、ホントに縛ってるよ(笑)」

場違いな明るい声が近付いてくる。


「おせーよ、お前ら!」

元いた男達も、ヒラヒラと手を振ってその声に答えた。


今入ってきたのは、二人の女子生徒。

おそらく、こいつらの友人だろう。


体育倉庫のドアが開いた時、一瞬でも助けが来たと思った自分を恨んだ。

ここに人がいるなんて、誰も気付くはずないのに。




「じゃ、始めましょーか♪」


まるで、宴でも始まるかのような声色。

盛り上がる仲間達。

何をされるか、わからない恐怖………。


あまりの恐ろしさに、込み上げてきた吐き気をグッと堪えて。


誰も味方のいないこの空間で、俺はただただ震えているしかなかった。


唯一頼れる自分の四肢も、両手両足を縄で縛られた今では、何の役にも立たない。




ひとしきり騒いだ後、五人は俺の周りを取り囲んだ。


そして……………






「たっぷり、痛めつけてやるよ」




悪魔の囁きが、未知の恐怖に怯える頭の中でいつまでも木霊していた────……




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