この胸いっぱいの愛を。
背筋が凍り付いていくような感覚。
この人達、将兄の知り合い?
将兄、今どこで何してるの?
──────将兄に、何かあったの?
疑問ばかりが、頭の中で増えていく。
駿河先輩の様子を見るだけでも、ただ事じゃない何かが起きていることが、よくわかる。
………私達の、知らないところで。
焦りと、恐怖。
それらを身体全体で感じながら、私は立ち尽くしていた。
どこに向かえば良いかもわからない。
でも今この瞬間にも、将兄が危険な目に合ってるかもしれない。
将兄を助けるためには、やっぱり………
「す、すいません!」
私は勇気を振り絞って、注目を浴びることも承知で声を張り上げた。
「「「!!!」」」
私の声に気付いて、三人の顔がこっちを向いた。
女子生徒二人は、怯えた表情のまま。
駿河先輩は我に返ったように、ハッとしたような顔をしている。
「キャッ」
胸倉を掴んでいた先輩の手が離され、女子生徒の身体がコンクリートの地面に叩きつけられた。
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