砂漠の王と拾われ花嫁
「お兄様ではこの食事は物足りないわ マハル、何か持ってきて?」


莉世は目の前に並んだあっさりとした食事を見て言った。


いつもどおりに振舞う莉世にラシッドは何も言わなかった。


莉世はラシッドの英知ある黒い瞳を避けていた。


目と目が合えば問いただされる。


でも私が口を割らなければいい・・・。


お兄様とけんかをしてでも大臣の事は言わないんだから。




「リセ・・・タヒールが・・・」


「え?きゃっ!」


するっと手からグラスが滑り落ちた。



突然、タヒールの名前がラシッドの口から出て莉世は持っていた飲み物を落としてしまった。




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