砂漠の王と拾われ花嫁
ラシッドに食べろ食べろと言われて莉世は仕方なく口へ運んだ。



「栄養をしっかり取らなければ左手が良くならないぞ?」



莉世は左手の話題にビックリしてラシッドを見た。



「何を驚いている?」



「い、いいえ」



お兄様は知らないはず。



左手が動かない事実は侍医に口止めをしていた。



「左手が治ったら美しいオアシスへ連れて行ってやろう」



「お兄様が先日行ったオアシスですか?」



オアシスと聞いて嬉しくなるが、左手が治る事はない。



今は知られたくなくて莉世は無理に笑顔を作ったのだった。



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