砂漠の王と拾われ花嫁
ラシッドの住居に戻ろうと中庭を歩いていると美しい音色が聞こえてきた。



「あの音色・・・・」



少し行くと噴水の縁に腰をかけて楽器を奏でているイムランがいた。



莉世は気づかれないうちに行ってしまいたくて足音を立てないように歩いた。



背を向けているイムランからわからないようにやっと階段に足をかけたその時、音が止んだ。



「なぜ黙って行ってしまうのですか?姫君」



莉世はギクッとして足を止めると振り返った。



「姫君 私を避けておられるのですか?」



つらそうなイムランの顔に莉世は後ろめたくなる。




< 253 / 491 >

この作品をシェア

pagetop