砂漠の王と拾われ花嫁
「カリムはこの国に伝わる秘薬があるって知ってる?」


「秘薬ですか!?いいえ 初めて知ります」


馬番のカリムが知っているはずはない。



ファティマの女官ですら知らなかったのだから。



「その秘薬を飲めば左手が治るらしいの」



「それは素晴らしい薬ですね!」


話す莉世の顔は浮かない。



「侍医が持っているとファティマから聞いたの それで・・・さっき侍医の部屋に行ったら誰もいなくて・・・」



泣きそうな顔になった莉世にカリムが驚く。



「姫様!どうしたんですか!?」



「鍵がかかって・・・いたけど・・開けて・・その秘薬を盗んでしまったの」



そう言うと顔を伏せて泣き出してしまった。




< 404 / 491 >

この作品をシェア

pagetop