砂漠の王と拾われ花嫁
その夜、タヒールの家では盛大にファティマを祝う食事会が行われた。



ファティマの兄や姉たち、その伴侶たちが出席し賑やかな宴となった。



タージルは結婚の話を聞き深いため息をついた。



1人騒がしい宴にも入る事はせず隅の方で酒を飲んでいる。



厩舎での莉世とカリムの話を思い出していた。



あの場で聞いていたのはタージルだった。



どんなに自分の妹が卑劣な女か、嫌気がさす。



「秘薬」を進めたのは妹だ。



いかに「秘薬」が危険なものかわかっていれば姫君も飲まなかったはず。



すべて思い通りになった父親とファティマを冷たい視線で見ると部屋を出たタージルだった。




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