砂漠の王と拾われ花嫁
「お食事を運ばせましょう」


マハルが言うと入り口に控えていた娘たちが廊下に出て盆を掲げて戻ってきた。


彼女らは莉世と年は変わらない。


目を伏せて莉世と目を合わさないように躾けられていた。


ラシッドが後見人である莉世は高貴な身分になり許しを得ない限り彼女らは視線を合わす事が出来ないのだ。


最初の頃、疑問に思った莉世はラシッドに聞いた。


そう言われても良くわからない。


莉世の育った日本では身分などと言う差別はなかったから。


4年が経ちここの生活に慣れた・・・・はずなのにテーブルに食事を丁寧に置いている娘たちに疑問を持ち始めた。


こんな生活は嫌にならないの?


ラシッドに拾われたおかげの自分がこんな風に思うのはおかしいのだが。


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