砂漠の王と拾われ花嫁
長い袖の服を着ていて良かった。


透けるような素材の袖だけど手首の腫れは見えない。


カリムが濡れた布を持ってきた。


「ありがとう この事は絶対に内緒にするからね?」


莉世はずきずきと痛む手首にそれをあてた。


「姫様・・・・」


莉世がこの事を言えばカリムは殺されてしまう。





馬のひずめの音が聞こえてきた。


「お兄様?」


今は会いたくない。


きっとひどい顔をしている。


「カリム 部屋に戻るね」


そう言うと身をひるがえし足早に部屋へ向かった。



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