砂漠の王と拾われ花嫁
ラシッドの執務室から追い出されるようにして出たタヒールは廊下で待っていた護衛たちと共に歩き出した。


「くそっ わしを誰だと思っておる!」


タヒールはラシッドの父親に仕えていた大臣だ。


普通ならば自分はラシッドから尊敬の念を持たれるべきだ。


「まあ良い あの娘は話していないらしい」


昨日の夜、侍医がラシッドに呼ばれたことを聞いた。


もしやと思いタヒールは先手を打ちにラシッドの元へ行ったのだ。


ラシッドの態度から告げ口をされていない事がわかった。



絶対にわしとファティマの事をないがしろにはさせない。


タヒールは含み笑いをしながら回廊を歩いていった。




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