[短編]愛しているから
「相沢 翔君だね」
「はい‥」
僕は父さんと同じように母の髪を撫でながら返事をした
「かわいそうに‥巻き込まれてしまったんだね」
警察官は悲しそうに言った
周りから見ればそう見えるだろう
僕の体は血まみれだ
「傷の手当てを…」
「大丈夫です。この血は母さんのですから」
「そうか‥ずっと抱きしめていたんだね」
返事もうなずくもせず僕は髪を撫で続けた
「とりあえず署まで来てくれないか。一応話を聞きたい」
「はい」
僕が立ち上がると母は布で覆われてしまった