アイドル様とヒミツな恋を。
「叶多?あのね……」
必死に、誤解を解こうと言葉を探すけど、なかなか思いつかず、
「………」
また、3人の間に沈黙がながれてしまった。
「……あのさぁ」
突然叶多が声を出したので、びっくりして私は顔を上げた。
叶多は、いつもの顔に、何か決意が入り交じったような顔をしていた。
「俺、諦める気ないから。いつか、あんたから愛花を奪ってやる」
そう宣戦布告をして、足早にお店のほうに戻っていった。
「はッ!誰がやるかよ」
叶多の後ろ姿を見ながら、竜人が呟いた。
お店を出てから、いったいどれくらいたったのだろう。
多分、10分くらいしかたってないだろうけど、
私にはその10分が、一時間ぐらいにも感じた。
窓から見える空は、私の心とは裏腹に、青く澄みわたっていた。