アタシ
(えんしない?)
(は?)
 携帯専用出会い系サイトでサクラのバイトをしていたアタシ。たまたま暇潰しに見ていたコミュニティーサイトで「月30万、出会い系サクラ急募!」という書き込みを発見し、楽して沢山金を手に入れたい、という一心で毎日気持ち悪いオヤジ共の相手をしていた。その気持ち悪いオヤジ共の中の一人に輝、と名乗る男がいた。34歳、安月給の癖に100ポイント1000円のこのサイトに登録し、しかもサクラに騙されていることに気付かず金を使い続けているという典型的な馬鹿だ。そんな奴がいきなりエンコーの話なんか持ち出してくるものだからつい、面白い、からかってやろうじゃないかという気持ちになってしまったのだろう。
(いくら?)
続けてメールを送る。輝からの返事は思っていた以上に早かった。
(苺でどう?条件はある?)
苺?いちご…イチゴ…なにそれ。あ、そうか。1・5って意味ね。安月給の割りに以外にくれるな、と思った。同時にまんざらでもないとも思った。根拠の無い理由だが、アタシは初体験でヤリ逃げをされてからというもの、好きでもない男とセックスすることに抵抗がなくなっていた。
(苺でいいよ。条件はゴム有り・キス無し・フェラ無しで。いつにする?)
(明日、5時からはどうかな?)
(オッケー、じゃあ明日5時に五稜郭の〇〇で待ち合わせしよう。これアタシのメールアドレスだから。)
(わかった、楽しみにしてるよ。)
輝とのメールはここで途切れた。途切れてしばらくしてから「しまった!」と、思った。サクラなのに、からかってやるだけだったのに、なぜアタシはこんな奴にメールアドレスを教え、会う約束をしてしまったのだろう。しかも明日。悩んで、悩んで、悩みまくった挙句、アタシはしらばっくれることに決めた、はずだった。
< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop