音楽バカ
「あら、あんたはむしろビデオかカセットテープでしょ。」
「そーゆー問題じゃない!」
希良は美音を睨みつけた。
「しょうがないでしょー?
信頼してる人にしか頼めないのよ、こればっかりは。」
表情を一切変えずにしれっと言い放つ、こいつには適わない。
信頼されているのか、利用されているのか、それをどう受け取ればいいのかも謎だ。
「うぅ……でもあたしは…」
確かに美音や先生の役に立ちたいとは思うが。
希良は歌えないよぉと、今にも泣き出しそうである。
「やってみてそれでも駄目だったら強制はしないわ。」
見かねた山羽が口を挟んだ。
普段全く歌わない希良に頼んでしまうことに、山羽の焦りを感じた。
ここで断ると逆にこちらが悪人である。
「うーん…じゃあ…。」
「引き受けてくれるのね?」
「あんまり…期待はしないでくださいね。」
苦笑しながら答える。山羽はほっと胸をなで下ろした。
美音は計画が成功してご満悦のようだ。