音楽バカ
―「へぇ、そうなんだ。」
いつもの休み時間。
美音は塾の宿題を解きながら希良の話を聞いている。
「卒業生なんじゃない?
だから吹奏楽部に来てくれてるのよ。」
「やっぱり?」
「でしょ。」
あのあと、何となく遙にはそのことを聞けずにいた。
「確かめてみる?」
「いや、なんか聞きづらい……」
「なんで?」
「………直感的にだけど聞いちゃいけない気がする。」
なんとなくなのだが突っかかる場面は度々ある。
「じゃあ本人に聞かずに確かめればいーじゃん。」
「ぇ……どうやって?」
「まぁ、それは昼休みまでのお楽しみにして?」
美音が怪しげに笑ったのが少し気がかりだったが、何せ長い付き合いなので気にしないことにした。
そして昼休み。
希良と美音の2人は、普段は全く足を踏み入れることのない旧校舎へやってきた。
「……なんでこんなとこに?」
「いいからいいから。」