*あたしの好きな人*
「柚?龍さんとこ行ってみなよ。」
奈々は何か企んだような、
嫌らしい笑顔でそう言った。
うん、でもまぁちょっと行ってみよっかな。
「ん。行ってみる。」
そう言うと、祐介さんはクラスの場所を言って、奈々と手をつないで行ってしまった。
いいなぁ、なんかラブラブで。
奈々は祐介さんと付き合って2年になる。
中学のときからだもんね。
すごいなぁ、一途って感じで。
それに比べてあたしは、
男をとっかえひっかえ‥‥とまではいかないけど、
フラフラしてて、なんか情けない。
あたしはトボトボ教室のあるほうに足を戻し、歩きだした。