*短編* それを「罪」と囁くならば
――――――――
――――――
「超うめぇ!!!」
「そんながっつかなくても、オムライスは無くなんないから」
できたてのオムライスをおいしいと何度も言いながら食べてるヒカルに、由奈は苦笑しながらも喜んでいた。
あのあと、ちょうどオムライスができたという時に突然の訪問客としてヒカルが来た。
本当に突然すぎて驚く由奈をスルーして普通に家に上がりこむ。
慌てて理由を聞けば「ただ暇だから」だったと言う。
ヒカルが由奈の家に上がりこむことは今までは数回あったが、こんな突然だったのは初めてだった。
その時ほんの少しだけ、《彼》に断られて良かったと思った。
ヒカルに見られずに済んだから。
もし見られたら、上手く言い訳できる自信が由奈にはなかった。
「お、オムライスじゃん♪ いっただきま~すっ」
「あっ、ちょっと!!」
おまけに自分で食べようとしたオムライスを勝手に食べられる。
そんな自由すぎるヒカルに、完全に呆れていた。
でもおいしそうに食べてくれるから。
本当は《彼》のために作ろうとしたオムライスだったけど、最終的には作って良かったと思った。