リューベル王物語
リクは、
鋭い眼光に、
さらに強い光を宿して
無言でピノアを見つめる。
ああ、だめ……
リクがこんな眼をするときは、
空から火の玉が降ってきたとしても
行くのを止めることはない。
「気をつけて…」
そう言って
秘密基地から出ながら
ピノアが手を伸ばすと、
そこにちょうどリクの手があって
指先が少し触れた。
リクの手に触れるぐらい、
生まれてからこれまでに
何度もあったことだけど、
ピノアは触れた指先が
これほど切ないと思ったことはなかった。