リューベル王物語



「ピノア、先に帰ってろ。」


リクはピノアの耳元に


口を近づけてささやいた。


ピノアは


その言葉の意味よりも先に、


耳元に伝わる息遣いに


身体の中心が痺れるような感覚を覚える。


「早く、行け!」


リクが小声でたたみかける。


でも、リクは一体何をするつもり?


「だめよ。一緒に帰りましょう。」


一応ピノアは言ってみたが、


こういう時のリクは


何を言っても聞かないことを


ピノアはよく知っていた。



< 23 / 38 >

この作品をシェア

pagetop