リューベル王物語
こんな2人に共通することは、
その抜群の成績のため、
進路を自由に選べることだ。
ティアイネは迷わず士官学校への進学を選択した。
「この国には、強い軍隊が必要だ。」
それが、若き秀才であるティアイネの持論だった。
一方、リクは何も決めていなかった。
「なんかなあ……。何がおれに向いているのか、わからないんだ。」
「チェスのプロになるなんて、言わないでくれよ。」
「それ、いいかもな。」
おだやかな陽光を受けて、
ティアの金髪がきらきらと輝く。
黒髪のリクが言葉を続ける。
「しかし、士官学校へ行くと、いろいろと誘惑が多いらしいからな。気をつけろ。」
「ああ、噂にはいろいろ聞いている。すでにこの国の士官学校にも、シルド・エルハイドがいるらしい。」
「ティア、声がでかい。誰が聞いてるかわからねえぞ。」
「構うもんか…」
そう言って、
ティアは自らの金髪を手でかきあげた。