黒い詩(うた)
†††


桜には

君の知らない顔がある


春霞みがかかる空の下

無邪気に笑う顔をみて


あたしは口元だけで

微笑んだ


桜が ザワリと揺れるたび
あたしの中の何かが動く

ザワ ザワ ザワ

強い風がちぎるたび

あたしの何かが醒めていく


桜には

君の知らない顔がある


誰しもが

知らないふりする夜がある



†††桜の闇には鬼が棲む
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