旦那様は高校教師


「家の人と喧嘩でもした?」



先生の質問に、私は首を横に振った。



例え先生でも、話したくない。



「俺でよければ相談に乗るよ?まぁ話を聞く事位しか出来ないけど…」



先生はチョット照れた様な顔をし、だけど凄く真剣な目で私を見てくる。



今まで、自分の事を誰かに話した事は余りない。



でも先生の真剣で熱い目に負けちゃった。



先生のキラキラ輝く星のような目に吸い込まれ、私は自然と話を始めていた。



生まれて直ぐに両親が亡くなった事。




親戚の家を点々とした事。



今の家での暮らし。



それから、星を見ながらいつも考えている事…。



思い出すだけでも辛く、言葉にしただけで益々心が締め付けられ、苦しくなる。



じわじわと涙が溢れて止まらない。



途切れ途切れになる私の話に、先生は黙って耳を傾けてくれた。





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