旦那様は高校教師


「お待たせ。駅まで送るよ」



心ちゃんは玄関の鍵を閉め、私の鞄を持つ。



「有り難う」



私は心ちゃんの車に乗り込んだ。



「本当は学校まで一緒に行きたいんだけど…」



赤信号で停車すると、心ちゃんの呟く声が聞こえた。



うん…私も心ちゃんと同じだよ。



一緒に登校したい。



バイトの時みたいにコッソリ車の乗り降りが出来たら良いのに、学校だと人目が多すぎて無理なんだよね…。



「ほたるはさ…部活しないの?」



前方を見つめたまま、心ちゃんは徐に口を開く。



「考えた事なかった…」



元々、部活なんて出来る環境じゃなかったから、特に興味はない。



今は入学時とは状況が違うけど、学業·主婦業の両立だけで精一杯。



此の上、部活なんてしたら何処かは疎かになる気がする。





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