旦那様は高校教師


「俺、電話に出ない方が良かったかな…」



「そんな事ないよ。心ちゃんが電話に出てくれたから、詩織に大事な人が居るって言えたもん…」



俺の手を握るほたるの手が、少し震えていた。



加賀に伝えたと言う事は、ほたるが嫌がっていた『恋多き人』と思われる可能性がある。



本当に良かったのか?



怖くないか?



ごめんな…俺のせいで辛い思いさせてるな…。



俺はほたるの手を握り返した。



「心ちゃんには嫌な思いをさせちゃったけど…紹介したい人がいるって言われた事も話せて良かった…」



ほたるは肩を落とし下を向く。



確かに栗山の件にはムッとした。



だが栗山も加賀も西野も、俺達の事を知らない。



皆、ほたるを思って言った事。



俺に人を責める権利も、ヤキモチを妬く資格さえもない。





< 407 / 743 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop