旦那様は高校教師
こ…怖い…。
助けて!!心ちゃん!!
私は心の中で心ちゃんの名前を叫びながら、其の手から逃れようと背を向け、一目散に走り出した。
体育でもこんなに走った事ないと言う位、走り続ける。
もう…ダメ……。
息が続かない…。
足を止めた其の場所は、偶然にもバス停だった。
「間に合って良かったですね」
発車しようとしていたバスのドアが開き、運転士さんの声と共に笑顔が向けられる。
あっ…バスに乗るお客様と勘違いされたんだ!?
乗るつもりは無かったけど、断れない雰囲気。
でも、そもそも私は迷子だし、もう行き先なんてどうでも良い。
たまには宛もなく乗る、バスの旅をしても良いかも知れない。
「待って頂いて…有り難うございます…」
乱れた呼吸を整えながら、私は其れに乗り込んだ。