旦那様は高校教師

心の声



4時限目は俺のクラスの授業。



教壇に立つと、何故か南条の席に目が行ってしまう。



居ないと分かっているからか、いつも見れないから、つい見てしまうのか…。



其れは俺にも分からない。



南条の席に目が行く度に『助けて』と声が聞こえてくる。



本当は何か遭ったんじゃないか!?



急に胸が騒ぎ出し、徐々に授業が手に付かなくなってくる。



「先生?何処か具合でも悪いの?いつもと何か違うよ?」



市川に、俺の不安な心を見抜かれる。



「悪い悪い、何ともないよ」



笑って答えたものの、市川の疑わしい目が俺を放さない。



あ゙生徒に心配掛けて、俺は一体何やってんだ!?



教師失格の烙印を押されるぞ!?



其れでも構わない。



罵られても良い。



生徒達には申し訳ないと思うけど、どうしても気になるんだよ。



『助けて』と心に響く南条の声が、今にも消えそうで不安なんだ。





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