僕のどうしようもない出来事
「ねえ」
帰宅部のあり方を考えていたら、声を掛けられた。
川瀬だった。

「ねえ、今日の朝の人だよね?」
『今日の朝の人』って、どんな日本語だ!?
これだから最近の若者は!
正しくは、
『今日の朝、世間知らずの私に道を教えてくださった、紳士の方ですよね?』
だろ!!
しかし、そんな事を言い出したら話が長くなるので、
「ああ、そうだよ」
と答えておく。
「君って、そればっかりだね」
語彙が少ないとバカにしてるのか?
バカは君だろ!!

「今日は、ありがとうね!」
紳士としては当然のことなので、黙っていた。

「私、川瀬綾子。これからヨロシクね!」
名前は、さっき聞いたよ。
母さんの顔が、ダブルから名前を言うのはやめてくれ!

「私ね、コミニケーションには名前ってのは結構大事な役割を果たすと思うの」
そうだろう!!
だから君は俺の前で自分の名前を言うなよ!!
「だから、君の名前教えて?」

「・・・・・・二階堂サブロー」

『三郎』ではなく『サブロー』って所が味噌だ。
某野球選手みたいだろ。


そんな二人の会話を邪魔するように
「川瀬さーん、私達と一緒に帰ろーよ。」
「岸本!川瀬さんに変なこと教えたら承知しないからね!!」
外野がうるさい
外野がうるさいのは野球だけで十分だ。

「君って、嘘つきだね!」
そう言い残して、川瀬は女子数人のところに行ってしまった・・・
まあ、怒っている感じじゃなったから良しとするか。

クラスの女子数名と川瀬の後ろ姿を見送る。
『髪、結構長いんだな』
天然ボケブルマ長髪少女の姿が教室から消えると、
俺も教室を後にした。

何となくだが、廊下が長く感じた。
・・・気のせいか?
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