また、君に恋をする
「…いつから私の事、好きだったんですか?」


由紀は思い切って尋ねると、勇人は驚きと戸惑いに満ちた顔をした。


「聞いてどうするの?
俺が話した事で苦しむのは由紀、お前自身だよ?」


「いいんです…
日記を読んでいて思ったんです。
覚えていなくてもそれが事実で、私の歴史なら、きちんと受け止めたいって…」


由紀の言葉に、勇人は大きな溜息をついた。


「…俺は、由紀が家に引き取られた日からずっと由紀だけを見てきたんだ。

俺が5歳、由紀が3歳。

凄く寒い日で、初めて来た家に戸惑った由紀は俺にピッタリくっついて放れなくて…

小さな手が震えてて、守ってあげるんだって思ったんだ。

由紀への気持ちに気付くのにはそう時間はかからなかった。

綺麗になっていく由紀を見る度に苦しい位欲しくなって…

どんなに好きでも、お兄ちゃんって呼ばれる度に切なくなって…

だから由紀への思いを断ち切る為に留学を決めたんだ…」


辛そうに話す勇人を、由紀はただ見つめていた。
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