スイーツな恋
わたしと翔馬がひとつのソファに腰をかけ、向かいのソファに父と母が腰をおろす。
しばらくお互いに何も発することなく、無常に時間が流れる。

「…娘さんをぼくにください。」
翔馬が重い空気をうちやぶって、口を開いた。

父は微動だにせず、淡々とした口調で言う。
「君はわかっているのかね。娘はまだ17歳なんだよ。そして、君も17。後ろ盾もなく援助もなく、子供が育てられるのか」

「はい」翔馬は潔い返事だ。

「貯金はいくらある?」

「貯金は…今は、ありません。でも、働いてつくります。」翔馬の語気が強くなる。

「絶対、マジ、二人を幸せにするんで宜しくお願いします」翔馬は頭を下げた。

「あきれたな。そんな奴に娘はやれん。それに、産ます気もない。うわさがたたないうちに処分させる」
そう話す父の顔には侮蔑したような笑みがうっすら浮かんでいる。

「君と娘の間に生まれる子の運命は、君達をみてれば手に取るようにわかる。そんなかわいそうな子供は生きていても無意味だ。」

「何だって!!」
翔馬が立ち上がる。父のシャツの襟をつかんで、引っ張殴ろうとした。
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