スイーツな恋
「ねえ、どうして、そんなに頑張るの?」

「俺は前まですぐに誰かれ構わずケンカふっかけたり、タバコを吸って悪さしてみたりした。でも、心は空っぽだった。何をやっても空白だった。
けど、今はお前がいて子供がいて、なんつぅーか、満たされているんだ。だから、それを守るために働いているのかも」

「それに、あの女…母親みたいになりたくないのかも。子供よりも自分を優先して、子供を不幸にする親」

「わたしはね、翔馬のお母さんに感謝している。お母さんが翔馬を生んでくれたから
あなたに会えたもの」

「あの女…なんで俺を育てたのだろう。あんな奴でも母親と思ってたのかな。この気持ちは何だろう」

「本当はお母さんのこと好きってことだよ。誰よりも愛を求めている。でも、もうひとりじゃないよ。翔馬にはわたしがいる。この子もいる。わたしたちがずっとそばにいるよ」
わたしは、翔馬の手を自分のお腹に導いて言う。
お腹の中にはわたしと翔馬の愛の結晶がある。わたしと翔馬をつなぐものだ。

「陽菜、大好きだ」
翔馬がわたしを抱きしめる。
翔馬がはじめて、わたしの名を呼んでくれた。嬉しかった。すごく嬉しかった。

「わたしもね…翔馬が好き。大好きだよ」
わたしは翔馬の背中に手をまわし、抱きとめる。

翔馬はわたしをゆっくりと押し倒す。

そのときだった。急にフラッシュバックした。
学校からの帰宅途中不良じみた三人組に襲われた瞬間がよみがえる。

「いや!!わたしに触らないで」
わたしは思わず、翔馬をおしのける。

「へっ!?」翔馬は唖然としている。

わたしは恐る恐る告げた。

「わたし…わたし、レイプされたの」




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