シークレットラブ



「じゃあ、もう少ししたら迎えに行くから
じゃあな」




そこでケータイはきれてしまった。




「……………」




なんで?なんで壱也はおばあちゃんの名前知ってたの?挨拶はもうしたってどういうこと?




なんで…なんではぐらかしたのよ…





私たち、一応夫婦なんだよ?壱也…





はぐらかされたことに悲しくなり、もう少ししたら迎えに行くという壱也を無視して、ケータイを乱暴に鞄のなかに突っ込み、マンションを出た。




外を出て空を見上げると私の心とは大違いで雲ひとつない青空だった。




春と言っても少し肌寒いこの季節。
私は重い荷物を持って歩き出した。




これから私を恐怖に陥れる出来事など、まったく想像もしないまま───




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