私の中の眠れるワタシ

隠れ家




私はそれから一週間、誰からの束縛も受けずに、生まれて初めての『自由』を体感した。

朝起きる時間、帰宅時間や、寝る時間と。

自由には、時間の概念も必要だったんだ……


ちっぽけな事だったけど、門限に縛られず、何時まで何処に誰といようと勝手だというのは、どうしてこんなに私を開放的にするのだろう。



始めの三日間は、携帯電話の着信履歴が実家で一杯になった。

思い付いた時にまとめて何度もかけたりするようで、五分刻みで履歴が残っている時には、さすがに電源をおとした。

一週間も経つ頃にはもう、一日に一度も電話はかかって来なくなった。



−−私がしばらく身を寄せる家は、三宅ちゃんち。


これを決定する事ができただけで、私にはしばらく、生活の心配はなかった。


まだ、皆には内緒にしておきたかったから、たまには他の友人宅を訪れる事で、二人の事はごまかす。



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