私の中の眠れるワタシ

ライバル




私は、勝てる事と楽しい事、どちらも手を抜かない主義だ。

大勢で飲むのは楽しい。
だけどこのメンバーの中で、一番勝っていたらもっと楽しいはずだ。

三宅ちゃんは、完全に自分の練習より、後輩の面倒をみたり、飲み会を開いたり、そういう事に時間を割いていた。

勝つ事に、こだわりはない。

「勝てばラッキー、負けてモトモト」

と、いつもふざけて後輩達に言っていた。

いろんな人がいて、部活だから。
皆それぞれ、自分に適任のポジションを、全うすればいい。



私は。

年内に決まる、卒業まで一緒に踊る事になるパートナー選びに真剣だった。

一人ひとり、順番に上達度をこっそりチェックする。


ダンスは悲しいことに、審査員から選考の際に注目される背番号は、男性のみが付ける。

つまり女性は、男性の技術に添えられた花であり、観客や審査員の視線を集めるための道具に近い。


華がある、華がない……

これはある種、生まれ持ってきた個性であり、男性のフロアの立ち姿一つにも、選手間で比較されて言われる事だった。




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