私の中の眠れるワタシ

彼の、カレ




アキは、最近仕事の帰りが遅い。


仕事で必要とされる事は良い事だ。
だけど、どこか釈然としない気持ちになる。

それは、ヤキモチからでは、ない。

「ねー、いつも遅いわりに、たいした給料変わらないね。」

「サービス残業みたいなもんだから。」

彼は素っ気なくそう答えた。

……責めるつもりはなかったが。

やはり圭太郎の事を思うと不安はつきない。


実際、生活に余裕はない。食費や光熱費、家賃、育児費用……

欲しいものは、山ほどある。
しかもそれは、消費するものばかりで、キリがない。

「私、予定より早いけど、職場復帰しようと思うんだ……」

ずっと迷っていた事だったが、ついに打ち明けてみる。


「えー!蜜、だって圭太郎は??」

「母親も、手伝ってくれるというし、なんとかなるかなって……」

「ダメだよ〜!!まだ小さいのにぃ!!」

アキの説得が始まった。



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