君との期待値

ぱっと彼は手を逆さにしてコオロギを落とした。


「女なら一瞬でも驚けよな」



あんなに楽しそうだったのは、私をバカにするためだったのか。



どうせ可愛くないですよーだ。



私だって一応園芸部だし、虫なんか全然怖くない。



普通の女子の反応なんて出来ないよ。



外にある園芸部の机で作業をしていた私の向かい側に赤羽くんは座った。


「こんな地味~な作業俺には似合わねーっての」


種を入れる小さな袋をひらひらさせる。



「じゃあ何で園芸部はいってんのよ」



宙に舞っていた袋を奪い取り、また作業を開始する。



「それはヒミツー」



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