君との期待値
私は右手で左手を握りしめた。
「……まだ、赤羽くんいるかな?」
呟くように小さな声で前を見据えて言った。
隣の少年はそんな小さな私の声も逃さなかった。
「はい。きっと教室にいますよ」
その優しい声が聞こえるなり私は勢いよく立ち上がり、非常階段を駆け上る。
「大空くん。ありがとう」
振り返った私に少年は微笑みながら手を振ってくれた。
私は、走り出す。
扉を開け、廊下を突き進む。
バレンタインまでなんて、意味わかんないよ。
私の気持ちはそんな簡単じゃない。
まだちゃんと伝えてない。
慰めるわけでも、誘導されて嫌々頷く訳でもない。
本気で私の気持ちを伝えたい。