君との期待値
そのことに気づくと笑顔が零れた。
浮かぶのは、愛しい人の笑顔。
……ちゃんと進めてる。
いつの間にか胸が赤羽くんで満たされてる。
私の、新しい恋心。
会いたいよ。
どこにいるんだろう。
教室の机を見回した。
鞄のある机は1つ。
多分先輩の弟のもの。
ため息をつく。
もう、帰っちゃったんだ。
「……相手は、拓真じゃないんだな」
「え?」
先輩の笑顔が、少し歪んだ。
「どういうことですか?」
「んー。ま、いいや。
それもあいつの生き方だし」