君との期待値
……よく分かんないけど、成長したってことかな。
先輩はそのままの顔でさらに続けた。
「好きな奴、出来たんだろ?」
ドキンッ
心臓が跳ねた。
「ハハッ。図星だ」
「~~~っ!」
何で先輩には分かってしまうんだろう。
いや、でも拓真も気づいてたし私が分かりやすいだけ?
でも、先輩には今会ったばっかだし。
誤魔化すように私は言葉を発した。
「だ、大地先輩こそ、彼女とは上手くいってるんですか?」
「当たり前だろ。俺彼女めちゃくちゃ好きだし」
幸せそうな顔。
1年前の私なら、この笑顔にすごく傷ついてたと思う。
……あれ?
胸に手を当てる。
あんまり……傷ついてない。