君との期待値
「起こそうか迷ったけど、さすがにまずいなって思ったから」
淡々と言う拓真。
「ありがとう。このまま一晩中学校で寝るところだった」
急いで身の回りを片付けて、鞄をもつ。
「じゃあまたね」
そう言って立ち去ろうとしたとき、拓真が私の横を抜け、こちらを見ずに口を開いた。
「送ってく」
先を歩き出す彼に驚きを隠せない。
拓真が私を送ってくって……、
嬉しいような、女子からの反感が怖いような 。
なかなかついて来ない私に気づいたのか、
拓真が後ろを振り返る。
「早く。置いてくぞ」
その声に引き寄せられるように、彼の背中を目指して駆け寄った。