君との期待値
「はい。レシート入れて返してね」
「やった。ありがとうございます」
頭を深く下げてくるりと振り返る。
ドアまでは一直線。
面倒だけど、先輩としてフォローしてやるか。
「ねえ、亜姫」
もうすぐ出る、というところで引き止められた。
さっきと同じ方向をもう一度見る。
「拓真の好きな人探してるんだって~?面白そうなことしてるじゃん」
「ーっ!!」
何で先生にまでそんなこと伝わってんの?!
琉花先生は楽しむように口角をつりあげる。
ふふんって鼻歌でも歌い出しそうな感じ。
「いいわね~。若いんだし、やっぱり恋はいつでも直球よね」