君との期待値

「籠原」



呼ばれた声に振り返ると、拓真がいた。



「今日生徒会あるから部活いけない」



私の隣で止まり、無表情で用件をつげる。



生徒会も準備とかあって忙しいんだよね。



拓真も大変だ。



「わかった。部活の方は任せといて」



ガッツポーズをして微笑む。



一瞬ふっと笑ったかと思うと頭の上に手が乗った。



「ありがとな」



ポンポンと頭の上で彼の手が軽く弾んだ。



こうやってよく拓真は私の頭を撫でる。



拓真の手は大きくて優しい。



なんか、落ち着くんだよね。



高校に入ってからの知り合いなのにずっと昔から知ってるみたい。



お父さん……もしくはお兄ちゃんって感じ。



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