逢いたい時に貴方はいない
その日の営業時間が終わってから、私は店長に相談した。

下っぱくんに名刺をわたしたのに、
秋山さんから連絡が来たこと。
連絡が来ても無視をすれば指名替えにはつながらないだろうけど無視したり変に断ったら、この店に来づらくなって
結果的に、のぞみの唯一の客を駄目にしてしまうんじゃないかと言うこと。

思ったこと全てを
店長に話をした。


店長の答えは
私が聞く前から
すでに決まっているかのようだった。


『のぞみの客は今山崎さんだけだけど…
(未だに間違えたまんまかいっ)
もう何日も前から 指名を替えたいと言われているんだよなぁー、でも、山崎さんは揉めたりしたくないから、どうしたらいいか相談されてたんだよ。

カンナちゃんには協力してもらって、
暫く、ラストまで働いてもらっていいかな?そしたら客が呼べないという理由で、のぞみは2時には帰すから
のぞみが帰っていないからカンナちゃんを指名したってことで通すつもりなんだよ』

「私別にそこまでして客いらないし、今のままでも数字とれるからいいです。」

『いや、困るよ…山崎さんは太客だから…店としては指名関係なく引っ張りたいんだよ』
(まぁ、そうくるとは思ってはいたけどね)

「わかりました。じゃぁ暫くその感じでやってみますよ…」

『ありがとう…流石カンナちゃん』

(お世辞と解りながら私ってば、必要とされるのが嬉しくて 引き受けちゃうんだよね…悲しいサガだわ)



結局、
店長と秋山さんと私の計画通りに
時間帯をずらして接客するという話でまとまってしまった。



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