逢いたい時に貴方はいない
そのお店からすると真逆の道を五分くらい歩いて 少し奥の路地に入った所にマンションはあった。


何度も通った事がある道だったけど、こんなとこにマンションがあるなんて気づきもしない所だった。


私は黙ったまま、秋山さんの後についていった。


7階までエレベーターで上がると、慣れた手つきでドアの鍵を開けた。


『入って』

急に秋山さんが振り返るもんだから思わずビックリして、いつもより半音高い声で返事をしてしまった。

「お邪魔します」
靴を脱ぐと
後ろから カチャと、鍵をかける音が聞こえた。


私も普段自分の家ではすぐに鍵を閉めるけど…なんだか その行動にドキドキした。


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