逢いたい時に貴方はいない
『はい、これ』

いきなり目の前に差し出されたのは、
銀色の鍵だった。

「え?」

一瞬なんだかわからなかったけど…
多分、合鍵として私にわたしたんだと すぐに理解できた。

嬉しい反面、
知り合って間もないのに…すんなり鍵を渡せちゃう彼に戸惑いも覚えた。

あまりにも手慣れた感じだったから、
私はなんて返事をしていいかわからなくなった。

「え?これスペアつくって違う人に回せばいいの?」 なぁんて、オチャラけて見せた。
『おい、おい。いらないんなら返してもらうぞ』

と、秋山さんが後ろから抱きついてきた。

「冗談だよ~」と、照れくさくて私は距離をとろうとした。

『嬉しいか?』
距離をとらせないように私を抱き寄せると 優しい声で私にささやいた。

「うん」

なんか 私らしくなくて 凄く調子狂っちゃうくらい恥ずかしくて 現実じゃないような気さえしてきていた。






これをきっかけに私は毎日彼の部屋へ行くことになっていった…


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