逢いたい時に貴方はいない
店が終わってから、
私は、彼に真っ先に電話をかけた。


いつもより、
長く感じる待ち歌。


自分の心臓の音の方が勝っちゃてるんじゃないかって思うくらいだった…


『……もしもし?』

いつもと同じ彼の声に安心した。

それと同時に、緊張が走った。

その声が変わってしまうんじゃないかと思って……

「あ…もしもし、私」

少し声が上擦った。

『おぉ、どうした?早いな…今日は~』

そう、今日は仕事どころじゃなくて早めに切り上げてきたんだ。

「あの~」

言いかけた時…

『わりぃ~。今日は仕事忙しくて部屋戻れそうにねぇや』

え…?やだ。
ちょっと待ってよ!
今日言わないと、
私、モヤモヤに押し潰されちゃうよっ!


「何時でもいいの!」
『えっ?じゃあ…いや…でも今日は無理だなぁ~急な用事?』

私は、井を決して言った。
「妊娠したの!」

『…マジかっ?』

来たっ…。
言われるっ。



何を?

わかんないけど…怖い

『今すぐ部屋行くから待ってろよ』

「う…うん。」


あれ?仕事で忙しかったんじゃないの?


でも、なんだろう
この気持ち。

凝りがとれたみたいに

少し 楽になった。



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